小売業における一般的な流通形態として、直販と卸売がある。

直販とは、卸売業者や流通業者、他の小売業者などの仲介業者を介さずに、製品やサービスを消費者へ直接販売するプロセスを指す。この方法は企業が販売プロセス、価格設定、顧客とのコミュニケーションを直接管理することが可能となる。

直販は、オンライン販売、訪問販売、テレマーケティング、展示会やイベントでの対面販売など、さまざまなチャネルで行われる。

一方、卸売は、製品やサービスを小売店や他の企業へ大量に販売することを指し、小売店側が製品を最終消費者へ販売する。卸売価格は小売価格より低く設定され、小売業者は卸売業者から仕入れた製品に価格を上乗せすることで利益を上げる。

卸売は、企業が在庫を大量に販売する場合において費用対効果の高い方法であり、消費者は大規模な店舗で幅広い製品へアクセスできるわけだ。

つまり、消費者の純粋な需要が直販と卸売で異なる場合もある可能性がある。売り手の都合は顧客にとってどうでもいいことである。

したがって、各モデルの主な長所と短所を紹介したい。

直販のメリット

  1. 販売プロセスのコントロール: 商品のプレゼンテーションから価格設定、顧客との対話に至るまで、販売プロセスを完全にコントロール可能だ。これにより、一貫した顧客体験を提供し、ブランドを消費者へ強く意識させることが期待できる。
  2. 利益の増加: 卸売業者や流通業者、小売業者が取っていたマージンを排除することができる。その結果、売上あたりの利益(利益率)が増加する。
  3. 顧客の声を直接聞くことができる: 販売接点が近いことから顧客のフィードバックを直接受けることができるため、製品やサービスの改善に役立てることができる。

直販のデメリット

  1. コストが高い: 販売員、マーケティング、その他のリソースへ投資する必要があるため、卸売とは別のコストがかかる。これは直販業態に競合がひしめくケースで、その分得られる利益は少なくなる可能性が高い。
  2. 販売先が限定される: 特にオンラインで販売しにくい製品の場合、幅広い顧客へリーチするのに適していない可能性がある。逆を言えばターゲットがチャネルと需要ともにニッチな場合は直販が向いている。
  3. 規模拡大が難しい: 販売チームやマーケティング活動を拡大するため多大なリソースを必要とするため、直販の規模を拡大することは困難である。

卸売のメリット

  1. 費用対効果に優れている: 製品1個あたりの利益は減るが、取引先の法人へ大量に販売することができる。
  2. 豊富な品揃え: 小売店が販売する他社製品含めた豊富な品揃えの中へ入ることができる。
  3. 規模拡大が容易: 需要の増加に応じて多くの製品を発注することができるため、販路が整備された小売店への卸は比較的容易に規模を拡大することができる。

卸売のデメリット

  1. コントロールが難しい: 小売業者が価格を変動させるため、販売プロセスや価格設定に対する完全なコントロールができない
  2. 在庫コストが高くなる: 大量に商品を販売するため、在庫コストが高くなり、商品が予想より早く売れなかった場合のリスクも大きくなる。
  3. 競争の激化: 競争が激しく似た商品を販売している他の企業と競う必要がある。消費者は小売店でリアルタイムに他社製品を比較検討し商品を購入する。

まとめると、直販は消費者に直接商品やサービスを販売する方法であり、卸売は小売店や他の企業に商品やサービスを販売する方法である。

どちらの方法にもメリットとデメリットがあるため、どの流通モデルを選択するかは御社のビジネスにおける顧客、戦略、収益構造で判断すると良いだろう。

一時の流行で市場参加者の激増したD2Cモデルは2022年以降に撤退が相次いでいる。一方、スポーツブランド大手のNikeはアプリの整備と共に2017年から直販比率を拡大していた。「直販の拡大」と「卸売チャネルの開拓」は、中長期の戦略でどちらがベターであるか慎重に検討したいものである。